生涯柔道実践の手引き 〜互いを高め合える、安全な「柔道」を目指して〜

① “柔道の心”を体現しよう!

 

『真剣勝負の中にも「自他共栄」の心を!全力8割・思いやり2割』

 

② 柔道を始めるにあたっての心構え

 

柔道修行は人生と同じ、マラソンです。

 

柔道の技の中で一つとして簡単にできるものはありません。
一歩一歩積み重ねた先にゴール(自分の理想とする柔道)があります。

 

互いに尊重し合い「礼」を尽くしましょう。

柔道は相手があってこそ自分を高めることができます。

 

人間を高めることこそが柔道です。

技術が向上し、相手を投げるだけが柔道ではありません。
「己を完成し 世を補益するが柔道修行の究竟の目的である(嘉納治五郎師範 遺訓)」
「大外刈や膝車が柔道ではありません。良い人間になることが、柔道です(故・福田敬子九段)」
この言葉を胸に刻み、日々の稽古に励みましょう。

 

身の丈にあった柔道を心掛けましょう。

「勝負の世界の柔道(=オリンピックに代表されるような勝利至上主義の柔道)」と
「安全性や相手の身体を慮る嘉納治五郎師範が提唱し構築された柔道」は別次元のものです。
まずは段階的に技を修得し、アドバイスには素直に耳を傾けしっかり基礎を固めましょう。

 

休む勇気を持ちましょう。

体調が優れない時、身体が疲れている時は思い切って稽古を休みましょう。
また、稽古中に気分が悪くなった時などは遠慮なく申し出てください。
「やる時はやる、休む時は休む」これが長く柔道を続ける秘訣です。

 

③ 道場内でのマナー

 

・靴は揃えて靴箱に入れましょう。
・道場に入る時、出る時には一礼をしましょう。
・美しい礼を心がけましょう(相手の目を見る・足を揃える)。
・トイレはきれいに使いましょう(スリッパを揃える・便器の蓋を閉める)。
・帰る時には自分が持ってきた物は忘れずに持って帰りましょう(水筒・ペットボトル・タオルetc)
・手足の爪を短く切って稽古に参加しましょう。

 

④ 稽古中のルール

 

禁止事項】

(1)塾生同士で技の指導をし合うこと。
(2)受け・取り双方のの安全が担保できない技を施すこと。
(3)受け・取り双方の安全が担保できない技の受け方をすること。

 

〈禁止技・禁止事項〉

★初心者

 

指導スタッフから習ったことがない技
※新しい技は必ず指導スタッフに指導を受けてください。

 

 

★経験者

 
・打ち込みや投げ込みでも練習したことがない新しい技
・初心者またはそれに準ずる相手に対する捨身技・膝付背負投・巻込技・逆技
・相手を真後ろに倒す様な技
・自分より小さな相手に対する巻込技
・相手を投げ捨てる様な技の掛け方(例えば投げた後引き手を離してしまうような行為)
・頭から突っ込む内股
・両袖を絞った状態で技を施すこと

 

〈禁止する技の受け方〜“潔い”受身をとろう!〜〉

・相手に抱きつく。
・相手を引きずり込む。
・背中がつかない様に頭でディフェンスすること(ヘッドディフェンス)。

 

⑤ 指導体系・技術論「岡野モデル」

 

 

★生涯柔道実践のために文武一道塾 志道館が目指すべき柔道=「よい柔道」

 

 

(1)手は軽く握って、まっすぐ立ち自然体で組む(重心が安定し膝に余裕が出る)。
(2)手首や肘が自由に使える。
(3)足が自由に使える(体捌・足技)。
(4)得意技を持っている。※「得意技を身につけるには7年掛かった」by 岡野功 先生

 

 

 

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〈参考文献〉
月刊 秘伝「東京五輪覇者・岡野功再び 21世紀のバイタル柔道 特集」
岡野功のバイタル柔道 DVD
柔道とは、柔しい道である(米田實・宮崎誠司 著/ベースボールマガジン社)