【大人×初心者×柔道】第二回柔フェス「柔道教...
館長(コラム・講演・対談) 2023年10月10日「大人になってから柔道をはじめた柔道家」が主役のイベント『全日本大人柔道フェスタ(柔フェス)』、第二回目となる今年は1...
【大人×初心者×柔道】第二回柔フェス「柔道教...
「大人になってから柔道をはじめた柔道家」が主役のイベント『全日本大人柔道フェスタ(柔フェス)』、第二回目となる今年は1...
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“タグラグビー”を活用した人材育成事業を展開している村田祐造氏(右)と水谷絵里子氏(左)。
村田氏&水谷氏と坂東との出会いは、坂東が柔道選手引退直後の今から約10年前に遡ります。引く退後の人生に悩む坂東が、「元スポーツ選手で社会で活躍している人に会いたい!」とある方に相談したところ、その方から紹介されたのが、元ラグビーTOPリーグの選手であり、会社経営者の村田氏でした。そのパートナーである水谷絵里子氏を含め3人で親交を深める中、常に二人の姿を追いかけて来た、という坂東。
タグラグビーと柔道…種目は違えど、スポーツや武道を通した“人づくり”を志している3人が、熱く語り合います!
<プロフィール>
スマイルワークス株式会社 http://www.smileworks.co.jp
村田祐造 氏
スマイルワークス株式会社 代表取締役
東京セブンズラグビースクール 校長
東京大学ラグビー部時代、明治大学戦で最高のパフォーマンスを発揮する心理状態「フロー」を体験。相手の動きがスローに見えてタックルが次々に決まった。その活躍がたまたま名門三洋電機ラグビー部の目に止まる。
大学院では造船工学を専攻。ニッポンチャレンジ・アメリカズカップ2000における世界最高のレーシングヨットの開発に携わるも、まさかの準決勝敗退。敗因と感じた「心とチームワーク」がライフワークとなる。
大学院を中退して三洋電機へ。プロラグビー選手になる。業務で開発したラグビー分析ソフトが日本代表チームに採用。自身もコーチとして釜山アジア大会、ラグビーW杯2003に挑戦。選手引退後、起業。
現在、スマイルワークス株式会社では、ひとりひとりの働く笑顔を増やすため、安全で楽しいタグラグビーで「心とチームワーク」を学ぶ体感型研修プログラムを提供している。スポーツチーム、中小企業から大企業まで研修とチームビルディングプロジェクトの実績は多岐にわたる。
2014年4月23日 東京セブンズラグビースクール創立。
「文武一道」「挑戦創和」の理念のもと、オリンピック競技である七人制ラグビーを通じ、「強くて優しい人」を育てる。
著書「チームの心を一つにする技術」日本実業出版
水谷絵里子 氏
スマイルワークス株式会社 代表パートナー
タグラグビー体感型研修ファシリテーター/フォトグラファー
プレイバック・シアター カンパニー 「ともろう」所属
一般社団法人日本産業カウンセラー協会認定 産業カウンセラー
東京都葛飾区出身。
日本女子大学文学部英文学科卒業後、大手損害保険会社に3年間勤務。代理店営業、育成サポートを担当。
長年の夢であった映画配給の道を志して退職、株式会社パルコ映像部に就職。人気ミニシアターの副支配人として映画館経営、映画のプロモーションとマネジメントを学ぶ。
2003年にスマイルワークスを起業、当初はスポーツチームへの映像分析ソフトの企画販売を行う。
2004年にタグラグビーに出会い、心と体を動かすタグラグビーに魅了され、小学校での出前授業を始める。
2007年に企業むけのタグラグビー体感型研修を開発。
小学生への授業から社会人向けの企業研修まで、1万人以上の笑顔を育み、撮影してきたタグラグビー研修ファシリテーター/フォトグラファーとしてのキャリアは10年以上の実績がある。
2012年にプレイバック・シアターに出会う。相互理解と自己表現の手段としてプレイバック・シアターに可能性を感じ、 2013年から「プレイバック・シアター実践リーダー養成プロジェクト第6期」に参加。プレイバック・シアターの場を作る「コンダクター」として活動を始める。
自主ワークショップの開催のほか、東京アニメ・声優学校、フリースクールWILL学園での講師活動などを行う。長年の徹底した人間観察に基づく、きめ細やかな場づくり、ファシリテーションには定評がある。
タグラグビー、プレイバック・シアターを通して、より深い自己理解、他者理解をし、一人ひとりが個性を活かしながら調和する世の中づくりへ貢献すべく、日々邁進中。
☆座右の銘 「何も咲かない寒い日は 下へ下へと根を伸ばせ。やがて大きな花が咲く」
(高橋尚子さんが(マラソン選手、シドニー五輪金メダリスト)恩師の中沢正仁先生から贈られた言葉)
・・・・学生時代にラグビー部に所属し、その後、三洋電機株式会社でプロラグビー選手として活躍する傍ら、業務としてはスポーツ映像分析ソフトPowerAnalysisの開発リーダーを務めた村田氏。
開発したソフトの販売に苦労しながら、行く末を模索している時、人生の岐路を迎えたそう。
村田祐造氏(以下、彼の愛称である「ムラタぐ」と表記します)「たまたま見たテレビ番組で【タグラグビー】の特集をやっててね。その時に【タグラグビー】というものを知ったんだよね。ふたり(※村田氏&水谷氏)揃ってものすごい感銘を受けた。だってさ、運動苦手!やりたくない!っていう表情の子ども達が、タグラグビーが終わった時には好き!楽しい!に変わってたんだよ。感情が湧き上ってきた、っていう顔でさ。子ども達は本当に楽しそうだった。すごいインパクトがあったよね。興奮が覚めないまま、翌日には会社のラグビー部の事務局に行くと、実は会社が横浜で行なわれるタグラグビーの大会のスポンサーをしているということを知って。1ヶ月後の横浜大会に行った。
そこで、負けて落ち込んでいる子たちを励ましたり、一緒にパスの練習したり、子どもと遊んでいたら、その子どもの担任の先生と知り合ってね。その方が番組の特集で映っていた先生だったんだよ。すごい偶然だよね!そこから「授業を見学に来ませんか」と声を掛けていただいて、勤務先の小学校の見学に行ってさ。そこで見たタグラグビーの授業にものすごく感銘を受けたんだよね」
・・・・それ以降、タグラグビー指導の第一人者に教えを請い、3年に渡り三洋電機のラグビー選手として小中学校を回ってタグラグビーの指導をすることに。
100時間以上の授業経験を重ねる頃には、タグラグビーの教育的価値に確信を持つようになる。
ムラタぐ「子ども達がさー、輝くんだよね。「生まれて良かった」とか作文に書いてさー。それってすごいよね。タグラグビーがあまりに楽しいからこれ大人でもやりたいなぁと思ってさ。高校や大学時代のラグビー部の仲間と一緒に、“すいかクラブ”というタグラグビーのコミュニティを作ったわけ。(すいかクラブとは→すてきな仲間と・いつも楽しく・かんどうスポーツ、の頭文字をとって名付けた)
代々木公園でゲリラでタグやったりして。楽しかったなー」
坂東「私も何度かご一緒しましたけど、楽しくて勢いもあって、なんか燃えますよね〜、タグ」
ムラタぐ「大人も子どもも輝く。自分もすごいやりがいがある。これこそ天職かもなぁって。そう思ったから、本格的にタグラグビーを会社の事業として展開することに決めたんだ。その後、縁あって、ある企業から新人教育研修のオファーがあってね。せっかくの機会だから「タグラグビーを活用した、体験型の新人研修にするのはどうでしょう?」って提案してみたんだ。100人規模の研修なんて、実績がなかったからさ。心配もあったけど、とにかくやってみよう、って思って。著名な先生や先輩のアドバイスをいただきながら、できる限りの準備と対策をして臨んだ」
水谷絵里子氏(以下、彼女の愛称である「ミズタグ」と表記します)「心配はあったけど、実際に研修をやってみたら、みんなのびのびやっててね。その様子を見て『よかったぁ。私たちの一人よがりじゃないんだ。これならいける!』って思った」
ムラタぐ「その実績を持って、次のチャンスにかけたんだよね。別の企業にひとまずトライアルでやらせていただいて。タグラグビーについては力を出せたと思ったんだけど、終わった後、「素晴らしかったけど、プレゼンテーションのスキルが低過ぎる」って、その企業の人事担当の方に言われちゃった(笑)。これで諦めちゃだめだって思って、何度もその方に「どうしたらいいでしょうか?」って聞きまくったよね。そしたら、プレゼンテーションのやり方をご指導いただけることになったんだ」
ムラタぐさんの熱意が、スマイルワークスの独自の“ラグビー体感型チームワーク研修”の魅力がいろんな人を惹き付け、巻き込んでゆく。
評判が評判を呼び、タグラグビーを活用したこの研修は、現在のスマイルワークスの事業の中心を担っている。
坂東「ラグビーの選手をやっていた訳ではないミズタグさんから見て、“タグラグビーの魅力”をプレイヤーじゃない視点から言うと?」
ミズタグ「タグラグビーはね、男女も、大人と子どもも、配慮さえすれば手加減なしで一緒にできるし、誰でも本気になってできるところがいいよね。その時々でルールを少しずつかえてやるんだけど、それは皆で楽しくやるため。初めて会った人同士も、いつもは運動なんて全然やらないっていう女性も、バリバリのラガーマンも、同じレベルからはじめられて、楽しめるスポーツってないんじゃないかな。しかも手加減して、とかルールを簡単にして、とかじゃなくて、本気出してやれるっていう。時には、子どもVS大人でやって、大人が負けちゃうこともあるもんね」
ムラタぐ「最初は大人も子どももうまく出来なかったり、動きも気持ちもバラバラ。それが最後には楽しくなっちゃう。【敬意】【傾聴】【感謝】。ここを徹底したら“楽しくできるように”と意識しなくても、本気になるし、一生懸命になるし、楽しくなる。配慮、寛容の精神。それと、礼儀が大切だね。ラグビーのノーサイドの精神は武道の礼と共通してるんじゃないかなぁ」
坂東「確かに!共通点、ありますよね」
ミズタグ「本気じゃないと、命に関わるからね。ラグビーも柔道も。」
坂東「そうですね。柔道で言うと、“相手を安全に投げる投げ方を知っている”ということは、裏を返せば“危険な方法も知っている”ということにもなります。真剣に、そして相手を思いやる心がなければ、相手に大けがをさせてしまいかねないと思っています。なので、私自身その辺りはかなりしつこく、そして厳しく日々の稽古で子どもたちに伝えています。
そういえば、礼法の原型には武士の作法が用いられていると聞いたことがあります。柔道で正座をする時は“左座右起(さざうき)”と言って、左の膝から畳につけるんですけど、これには意味があって…正座する最中に相手に襲いかかられた時にもすぐに刀を抜いて反撃できるように、ということらしいんですね。大体刀は左脇に差しているでしょうから、右膝から着いてしまうと、刀抜きづらいですよね。」
ムラタぐ&ミズタグ「へ〜、なるほど!」
ミズタぐ「社員研修していると思うんだけど、職場での顔があるし、かっこつけちゃうんですよね、皆さん。だから、研修ではとにかく失敗をひろって誉める!」
ムラタぐ「失敗を誉めるということ。いいコーチはみんなそれをやってるんだよね。勝っても負けても強くなるチーム、変わらないチーム、なにが違うかというと、コーチと選手のコミュニケーション」
ミズタグ「いいコーチはよく見てるよね。細かく見てる。ただ誉めているだけじゃない」
ムラタぐ「レベルが上がる程、失敗は多くなる。その時に、失敗とどう向き合うか。失敗っていうのは挑戦の証なんだよね。そう伝えて、失敗を恐れないようにする。超一流の人はみんなそう。」
ミズタグ「価値観の転換、だね」
坂東「失敗の仕方、ですね。今、お二人の話しを聞いて思ったんですが、日々の柔道の稽古の中で、さっき言ったように、“相手を安全に投げる”ということに対して、子どもが注意したことを聞いてないと、叱らない訳にはいかない。例えば、相手を投げる時に引き手を離さないとか、しっかりやらないと怪我をしてしまう。そういう場合の子どもに対する声の掛け方とか叱り方ってどうすればいいでんしょうかね。」
ムラタぐ「危険なことはもちろん叱るべきだよね。でもその時『失敗したことで、学んだよね!』とフォローする」
坂東「なるほど。叱った後の対処が大事っていうことですよね。私が尊敬するシンクロの井村コーチも同じ様なことを言ってました。どこがいけないか具体的に言う、どう改善したらいいか的確に伝える、それが改善されているかどうかをしっかり伝える、って。失敗した後に、そのことが改善されていたら誉めてあげないと、ですね。」
ミズタグ「叱られて、もやもやしているままじゃね。解消できないとね」
ムラタぐ「弊社の社員研修も小学校への出前授業も基本的には1回。だからその日、その1回に全霊を込めよう、って思う。伝えるべきことは、ちゃんと伝えようって。でもね、そう思っていても、やはり改善点が出て来たりする。だから研修後には毎回、振り返りをするんだよね。ひとりでもやるし、ふたりでもやる」
ミズタグ「私は振り返り、すごく好き。いろんな気づきがあるし、いつまでも振り返りしていたい、って思う(笑)」
ムラタぐ「ラグビースクールの方は、次の機会があるからね。今回は伝えられなかったけど、次にはこう言おう、とか。ずっと考えちゃう時もあるね」
坂東「継続的に子どもたちと関われるのは、いいですよね。エネルギーも使いますが。じっくり対峙することができますから。」
坂東「お二人が、タグラグビーを社員研修事業にしているように、私は柔道を、企業の社員研修に取り入れられないか、と考えているんですよね。ただ、柔道は、タグラグビーと違って個人競技だし、ある一定の継続性も必要なので、単発の研修には向かない、と思っているんです。長期的に企業で柔道を取り入れるとなると、福利厚生なのかなー。」
ミズタグ「タグラグビーも、福利厚生で月1回、という企業さんあったな」
坂東「私は柔道精神とか嘉納治五郎先生の足跡を辿ると、会社経営にも繋がるものがある思っています。」
ムラタぐ「そういえば、住友グループの事業精神は“自利利他公私一如(じりりたこうしいちにょ)”。経営者が理念として掲げることって、柔道の理念と繋がることも多いと思うな。」
ミズタグ「柔道精神って、リーダー育成とかに生かせるよね。経営者層へのリーダーシップ教育とか。」
ムラタぐ「そう!次世代のリーダーシップ教育。嘉納治五郎師範×リーダーシップ、嘉納治五郎師範×経営論。みたいな。」
坂東「確かにそうですね。柔道がここまで世界に広まったのも、嘉納治五郎先生のリーダーシップや戦略も大きいと思います。柔道を一つの教育サービス、教育事業と考えると、嘉納先生って経営者としても凄い方なんではないかと。さらには、柔道家が食べていけるように、後進のために道をつくってくれている。今でこそ少なくなりましたが、昔は大体、接骨院の先生が、接骨院の隣に柔道場を作って子どもたちに柔道を教えていた。接骨院を開業するための資格って“柔道整復師”っていう国家資格なんですよ。」
ムラタぐ「うちの母も、接骨院に行くことを『柔道に行ってくる』って言ってたな、そういえば。それくらい、生活の中にすでに浸透しているよね。」
ミズタグ「経営者でトライアスロンとかマラソンやって人も多いけど、柔道は相手がいて、その相手と接する中で自分を磨いていくから、ひとりでやることよりも学ぶことも多いだろうしね」
坂東「確かに!経営者やリーダーにこそ、“精力善用”や“自他共栄”の心が必要ですしね。」
ムラタぐ&ミズタグ「ぜひ、それやってみなよ。坂ちゃんはもう、その道を突っ走ればいいよ!」
坂東「もう一つ、私が考えているのは、いつか学校を作りたいと思ってるんです。その学校は、柔道はもちろん必修科目です。
話しは変わりますが、先日、ある勉強会に出た時に、学校で教える教科や勉強について考えさせられることがありました。その時はテーマが“西郷隆盛”だったんです。その講師の方は、ご自身でも仰っていたのですが、西郷隆盛が大好きなんですね。80分ほどの講話時間だったのですが、終始情熱を持って、時には涙ながらに西郷隆盛について、歴史的背景も交えながら語られていました。その話しを聞いて気づいたのは、私が習ってきた歴史って、単に暗記の対象でしかなかったな、と。
本来は、国語でも算数でも理科でも社会でも体育でも、その教科を通して“人の生きる道”を学ぶために勉強や学校が存在するのではないかと思うのです。この講師の先生のように、涙ながらに歴史上の人物を語ることができる学校の先生が増えたら、日本はもっと変わるのではないかと。」
ムラタぐ「そうだよね。その教科の中でも特に、体育は“生き方”を教えるんだと思う。」
坂東「体育、大事ですよね。私が将来学校経営に携わったら、ラグビーも体育の必修科目に入れて、柔道で個を鍛え、ラグビーでチームワークを学べば、最高ですね!今日はお忙しい中、ありがとうございました!次回は“アスリートのセカンドキャリア”や“スポーツや武道を仕事にする”ということをテーマにお話ししたいですね。」
ムラタグ&ミズタグ「こちらこそありがとうございました。あっという間の時間だったね。またぜひやりましょう!」
構成・執筆 近藤ともこ
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