大切なのは「考える力」。〜柔道を通して何を学ぶのか?〜

館長(コラム・講演・対談) 2018年8月14日
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私は常々、これからの時代は“心の豊かさ”の格差が大きくなる時代だと感じています。
その“豊かさ”には地位や名誉やお金、男女や老若は関係ありません。
激動の世の中や膨大な情報量に流されるのではなく、自ら選択した人生を自らの力で漕いでいける人が、心豊かに生きていけるのではないでしょうか?

 

その為には「考える力」と「考えたことをアウトプットし、具体的な行動に移すことができる力」が重要だと考えます。

 

子供や青少年期に武道やスポーツに打ち込むことは本来、前述したような力を養い、成功・失敗を含む人生の先行体験を積むのにとても適しているはずです。

自ら目標を立て、どうすればその目標を達成できるのかを自ら考え、自発的に努力し、その結果を受けまた考え、努力の仕方や方法をブラッシュアップして、また結果が出て、、、。

 

私自身がそうであったように、目標達成に向かう考え方や努力の習慣が武道やスポーツを通して自然に身につくはずです。
そしてこの考え方や習慣は、社会に出ても大いに役立つことでしょう。

 

しかし昨今のアマチュアスポーツ界(ここでは分かり易く柔道も競技スポーツとして捉えます)の問題を見ると、選手たちを取り巻く大人たちは、選手たちにスポーツを通して何を伝えていきたいのかが甚だ疑問です。そしてそういう大人たちに取り巻かれた選手たちに将来何が残るんだろうかと、心配になります。
 
日大アメフト部の問題に象徴されるように、極端な勝利至上主義に陥っている一部のアマチュアスポーツ界では監督の指示は絶対で反則の指示にも従わざるを得ない、競技ロボットを大量生産しているに過ぎないのではないかと感じてしまいます。
競技ロボットに仕立て上げられた選手は、社会人になっても自ら考える機能が麻痺し、指示がないと動けない、指示されたことしかできない、恐い上司がいないと真面目に働けない労働ロボットになることは目に見えています。
AIが労働力として台頭する時代に、人間の労働ロボットは必要でしょうか?
答えは火を見るよりも明らかです。
 
武道やスポーツに打ち込む選手たちは純粋です。
私たち大人が武道やスポーツの本質に立ち返り、目先の勝利を重んじるのではなく、武道やスポーツを通して選手たちに何を身につけて欲しいのか、どういう大人になって欲しいのか、長い目で選手を育てる度量が必要です(自戒を込めて)。
そういう意味では、3〜4年スパンで結果を出さなければいけない部活制度そのものが限界にきているのかも知れません。
 
来たるべき2020年。
 
危惧すべきはメダルの数だけにとらわれ、ただのお祭り騒ぎで終わりオリンピック開催後に何も残らないこと。2020年が日本にとって競技スポーツの在り方そのものやその制度・仕組み自体を見直すきっかけになることを祈ります。

 

武道やスポーツを経験した子供たち一人ひとりが、未来の日本を世界を背負っていく大人になること。それが武道やスポーツの果たす役割ではないでしょうか。
その役割を果たすためにも柔道や道場生活を通して「考える力」を育む、これは私自身にとって重要なテーマの一つなのです。
 
 
 
 
 
 
 
 
館長・坂東真夕子

 

 

 

 

 

 

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